パナマ チリキ ミル・クンブレス マラカトゥーラ ナチュラル

パナマ西部・チリキ州ボルカン地域に位置するミル・クンブレスは、スペシャルティコーヒーを専門とする名門農園です。
共同オーナーのマリオ・フォンセカとアルトゥーロ・クライン、そして経営を担うラティボル・ハートマンは、経験豊富なチームとともに世界のスペシャルティコーヒー業界で高い評価を受けています。

標高1,600〜2,000メートルに位置する農園は、かつて牧草地だった約60ヘクタールの土地に広がり、そのうち25ヘクタールをコーヒー栽培に使用。残りはボルカノ・バル国立公園内の原生林として保全されています。
肥沃な火山性土壌と、年間3,000〜6,000ミリの豊富な降水量に恵まれたこの土地は、健全なコーヒーの生育に理想的な環境です。晴れた日には、太平洋を一望する壮大な景色が広がります。

ミル・クンブレスでは、ゲイシャ、パカマラ、ブルボン、モカ、マラカトゥーラ、サン・ラモンなど、多彩な品種を栽培。
それぞれの個性を最大限に引き出すために、ウォッシュド、ハニー、ナチュラルといった多様な精製方法を採用しています。
農園は環境原則を重視し、化学薬品の使用を最小限に抑制。手作業とバイオ肥料を中心に管理を行い、除草剤を使わず手作業で除草を実施しています。将来的には、**再生型農法（リジェネラティブ・アグリカルチャー）**を全面導入する計画も進行中です。

その品質は世界的にも高く評価されており、「ベスト・オブ・パナマ」コンペティションでは毎年上位入賞を果たしています。
2024年には「フレア・ゲイシャ」がゲイシャ・ウォッシュド部門で17位、「パカマラ」が品種部門で2位を獲得し、前年の6位からさらなる躍進を遂げました。
オーナーのマリオ・フォンセカ氏は「パナマの生産者同士の強い連携こそが成功の鍵」と語り、ハートマン家の指導と経験が大きな支えになっていると述べています。

ミル・クンブレスは、パナマのスペシャルティコーヒーの卓越性と持続可能な農業の理想を体現する存在です。
ミネラル豊富な火山性土壌、丁寧な管理、革新的な精製技術が融合したそのコーヒーは、まさに土地の個性と情熱の結晶。
コーヒー愛好家にとって、ミル・クンブレスは一度は訪れたい特別な農園と言えるでしょう。

【マラカトゥーラ種について】

マラカトゥーラ（Maracaturra）は、コーヒー愛好家の間で高い人気を誇る大型豆品種です。
ティピカ系のマラゴジッペ（Maragogipe）とブルボン系のカトゥーラ（Caturra）を掛け合わせたハイブリッドで、それぞれの長所を受け継いでいます。

マラゴジッペは「エレファントビーンズ」として知られる大粒のティピカ変異種で、芳醇な香りと奥行きのある風味を持ちます。
一方カトゥーラは、ブルボンの矮性種として高収量と優れたカップ品質を実現。
マラカトゥーラは、両者の特性を融合した品種として誕生し、主にブラジル、エルサルバドル、ニカラグアなどで栽培されています。
特に標高1,400〜1,600メートルの高地環境に適しており、鮮やかな酸味とトロピカルフルーツを思わせる香りが特徴です。

一方で、コーヒー葉さび病への耐性はやや低く、繊細な管理が求められます。
それでも、その豊かなフレーバーは高く評価され、2015年のカップ・オブ・エクセレンスでは5位に入賞。以降、スペシャルティコーヒー界で注目を集め続けています。